継続雇用制度の導入
少子高齢化の進展により労働力人口の減少が進む中、事業の継続・発展を図るためには労働力の確保が課題となります。若手従業員の採用や従業員定着率の向上のほか高齢者の活用などが挙げられますが、高齢法(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)では高齢者の65歳までの雇用を確保することを求めています。
定年が65歳未満の場合には、①定年の引上げ、②継続雇用制度の導入、③定年の定めの廃止、のいずれかを実施しなければなりません。この中で最も実施率が高いのが②の継続雇用制度の導入です。嘱託従業員等の呼称で定年後も引き続き働き従業員を雇用しているケースが多いのではないでしょうか。
継続雇用制度とは、定年を迎えた従業員が定年後も引き続き働くことを希望する場合に65歳まで働くことができる制度のことで、1年の有期契約を更新する形で65歳まで雇用すること等が考えられます。基本的には自社で引き続き雇用すると思いますが、子会社や関連会社で雇用することも認められており、その場合には自社とその雇用先で継続雇用制度の特例措置に関する契約を結びます。
無期転換申込権の発生
有期契約を更新する形で継続雇用制度を導入するケースでは、無期転換ルールが絡んできます。無期転換ルールとは、契約期間が通算して5年を超えたとき(平成25年4月1日以後に開始する有期労働契約が対象です)、従業員が希望すれば期間の定めのない労働契約に転換しなければならないルールのことです(通算契約期間の上限を5年としている場合には無期転換ルールは関係ありません)。
無期転換ルールを回避する手段には、①通算契約期間が5年を超える契約の更新を行わない、②無期転換ルールの特例の適用を受ける、③第二定年を定める、があります。②の特例を受けるためには、適切な雇用管理に関する計画を作成して都道府県労働局長の認定を受ける必要があります。
雇用管理に関する計画とは、高年齢者雇用推進者の選任や職業訓練の実施などの措置を行うことを定めるもので、就業規則など措置を行っていることが確認できる書類を添付して申請します。
同一労働同一賃金の意識
多くの場合、嘱託従業員の賃金は定年前に比べてダウンします。この場合、業務内容や業務の責任の程度などが定年前に比べて軽くなっていれば問題ないのですが、定年前と変化がなく、定年前と定年後の違いが契約期間の違い(無期か有期か)だけである場合には、賃金の引下げが無効となる恐れがあります。
現在、厚生労働省のホームページで同一労働同一賃金のガイドライン案が示されています。これは、正社員と非正社員の間で賃金が異なるなどの待遇差がある場合に、それが不合理か不合理でないかを事例も含めて示したもので、今後、国会審議を踏まえて最終的に確定されます。