異常気象やエネルギー価格の高騰、そして世界的な脱炭素の流れ。
いま企業経営にとって環境への対応は避けて通れないテーマとなっています。
GXとは?
GX(グリーントランスフォーメーション)とは、化石燃料から再生可能エネルギーなどのクリーンなエネルギーを中心とする社会構造へと転換し、経済社会を抜本的に変革しようとする取組です。
日本政府は、2050年までに温室効果ガスの排出全体を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」達成を宣言しました 。
脱炭素を目指すこの取組は、単なるCO₂削減ではなく、産業構造や社会全体の仕組みを見直すGXの枠組が必要とされています。
GXが求められる背景
気候変動・温暖化の深刻化
地球温暖化による異常気象の増加(豪雨、洪水、干ばつなど)は、国際的な課題となっています。
また、IPCCの報告によれば、世界平均気温は産業革命前と比べて1.09度上昇していますが、気温上昇は、人間の健康や食糧供給、インフラなどに打撃を与え、経済活動全体に悪影響を及ぼします。
このような世界的な状況が、GXを推進する強い要因となっています。
重点投資政策としての位置づけ
政府は「2050年カーボンニュートラル」を宣言しており、それを実現するにはエネルギー、産業、交通、住宅などあらゆる分野での技術革新と投資が必要になります。
そのため、今後10年間で150兆円超の官民投資を呼び込むGX推進戦略を打ち出しました。
GXは環境対策以上の意味を持っており、日本経済の成長戦略の柱として位置づけられています。
ビジネス環境の変化
大企業はすでにサプライチェーン全体で脱炭素を進めており、中小企業にも「CO₂削減の取組を示してほしい」など脱炭素への取組を求める動きが広がっています。
また、消費者も環境への意識から「環境に配慮している会社の商品を選びたい」と考える人が増えており、GXへの取組が新しい顧客獲得の機会につながる状況となっています。
GXに取り組むメリット
企業イメージの向上
GXに取り組む企業は「環境に配慮している会社」として評価され、顧客や投資家からの信頼を得やすくなります。
また、採用活動においても、若い世代から支持される要因になります。
コスト削減
省エネ設備や再生可能エネルギーの導入により、光熱費や燃料費を下げることができ、長期的には経営の安定化につながります。
売上機会の創出
環境対応商品への需要が高まっており、GXは新規事業や新しい市場開拓のチャンスでもあります。
大手企業など取引先からの要請に応えることで販売機会が増加するとともに関係性が強化され、収益性の向上につながります。
まとめ
GXが求められる背景は、
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異常気象など気候変動リスクが現実化している
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国の政策と世界の潮流として脱炭素が避けられない
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取引先や消費者の期待が高まっておりビジネスチャンスにもつながる
という3つに集約されます。
経営者にとってGXは「義務」ではなく、「未来の成長に向けた戦略」と言えるのではないでしょうか。