なぜ政府はキャッシュレス決済の推進に本気で取り組むのか?

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政府は、2025年までにキャッシュレス決済比率を40%にまで高める目標を掲げています。

それにはいくつかの理由が考えられますが、その中でも特に重要と思われる3つについて触れてみたいと思います。

日本はキャッシュレス決済が進展していない

キャッシュレス・ビジョンの資料によると、2015年における日本のキャッシュレス決済比率は18.5%となっています。この数字は、先進国の中ではとても低い水準です。

最も進んでいる韓国のキャッシュレス決済比率は89.1%ですが、それには次のような背景があります。
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  • 年末調整や確定申告の際、クレジットカード会社から送られる利用明細を添付すると所得控除された(上限30万円)
  • クレジットカードで1,000円以上利用すると、毎月の賞金総額が1億8千万円の宝くじの権利を獲得できた
  • 年商240万円以上の店にクレジットカードの取扱を義務化した

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韓国のキャッシュレス決済比率が進展は、上記のように国が政策として取り組んだことによるものです。

一方、日本でキャッシュレス決済が進展していない理由には、治安の良さや導入コストの高さなどが考えられますが、最大の理由は韓国のように国を挙げて取り組んでこなかったことです。

それでは、なぜ今、国を挙げて取り組むようになったのでしょうか?

貨幣の製造コスト等を削減したい

ひとつめの理由は、現金コストの削減です。

貨幣は造幣局が製造していて、平成30年度の貨幣製造事業の予算は約145億円です。ちなみに、紙幣の平均寿命は1万円札で4~5年程度、5千円札、千円札は1~2年程度だそうです。

キャッシュレス決済が進み貨幣の製造枚数が減れば、製造コストや廃棄コストが削減されます。

税金をキッチリ徴収したい

現金取引は履歴を残さずに行うことができるため、不透明性が高くなります。

国としては、事業者が売上を抜けば(脱税です)、その分の税金を取りっぱぐれることになります。

キャッシュレス決済によりお金の流れを可視化すれば、脱税の防止や正確な所得の把握が可能になります。

犯罪を防止したい

現金が減れば、強盗などの犯罪が減少します。また、脱税などの犯罪により発生した現金の洗浄(マネーロンダリング)の防止にもつながります。

まとめ

日本のキャッシュレス決済比率は、これまで政策として取り組んでこなかったため、18.5%と低い水準となっている。

2025年までにその比率を40%に高めようとしているが、その理由の中で特に重要なものは、①現金コストの削減、②税徴収の強化、③犯罪の防止、である。

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