損益計算書を見ると黒字なんだけど、なぜか資金繰りにアタフタしている。
利益が出ているのにどうしてなんでしょう?
今回は、利益と資金繰りについて考えてみたいと思います。
利益が出ていても現金があるとは限らない
利益が出れば現金は増えます。しかし、掛取引を行っていたり減価償却費が存在すると、必ずしもそのタイミングや額が一致するとは限りません。
たとえば、掛取引であれば売上が計上されていても売掛金を回収するまでは現金が手に入りません。
同じように、掛取引で仕入を行った場合は仕入時点ではなく、買掛金を支払った時点で現金が外に出ていきます(利益と現金のタイミングがずれる)。
また、減価償却費は費用計上されているが実際には現金が外に出ていない費用なので、減価償却費の分だけ利益より現金の方が多くなります(利益と現金の額がずれる)。
資金繰り表で現金の動きを把握
このように、必ずしも利益と現金の動きは一致しないので、現金の動きを把握するために資金繰り表(予定と実績)を作成して現金の動きを把握しておきましょう。
予め資金不足に陥りそうな時期がわかれば、事前に対応を図ることができます。
資金繰りの改善
資金繰りの改善にあたっては、次の3点を確認してみましょう。
回収・支払サイトの適正化
仕入や経費等すべての支払いが売上の入金後であればよいのですが、そのようなケースはほとんどありえません。
支払いから入金までの間が長くなればなるほど資金繰りはきつくなりますので、この期間をできるだけ短くします。売掛金をできるだけ早期かつ確実に回収するとともに、回収サイトを考慮して買掛金の支払時期を設定しましょう。
在庫の削減
まだ販売されておらずお金になっていない状態である在庫を減らしましょう。
まずは過剰在庫が発生している原因を分析し、それに応じて①販売見込みの精緻化、②原材料の共通化、③リードタイムの短縮、④発注方式の検討などを行います。
収益性の向上
極端な話、現金が潤沢にあれば運転資金を借り入れる必要もなく、資金繰りに窮することもありません。
収益性を向上させ内部留保を厚くし、現金を多く持つことが資金繰りの本質的な改善につながります。
利益から税金を引いたものが内部留保の原資となりますので、過度・不要・無意味な節税に躍起になるよりは、税金を納めて内部留保を厚くすることも重要となります。