徒然なるままに|名古屋の中小企業診断士

その他
手許現金
一定程度の手許現金があれば非常時にも慌てずに経営することができます。
どのくらいの手許現金があればよいかは各事業者によって異なりますが、よく「月商○ヶ月分」というふうに表したりします。
ただこの考え方だと、月商が毎月の固定費を上回っている場合にはよいのですが、そうでない場合には事業を継続していくことができません。
月商が低くなったからといって家賃等の固定費は下がらないので、できれば手許現金は「固定費(プラス必要仕入)3か月分」ぐらいは確保しておきたいところです。
簡易キャッシュフロー
税引後利益+減価償却費
これは、一年間でどれぐらいのキャッシュ現預金を手に入れたか?を簡単に示す式です。
この式よるとキャッシュを増やすためには、
・税金を払った後の利益を増やす
・減価償却費を増やす
の2通りが考えられます。
なので、ときどき「減価償却費を増やせばその分キャッシュも増えるでしょ」とおっしゃる社長さんがいらっしゃいます。
確かに減価償却費は非現金支出費用なので、利益と比べるとその分だけキャッシュは多い状態になっています。
ただ投資時にキャッシュアウトしているので、当然ですが実際にキャッシュが増えるということではありません。
納税が持つ意味
会社のお金を増やす手段には、
・他者から集める
・自社で株を発行する
・自社で(税引後の)利益を残す
などがあります。
借入金や社債など他者から集めたお金はいずれ返さないといけませんので、実質的には増えたことになりません。
また、小規模事業者の場合、自社で株を発行しても買い手がいるとは限らず経営者やその親族が株を購入するケースが多いので、実質的には経営者やその親族から会社への資金移動となります。
となると、やはり「税金を納めた後の利益を残す」という手段が王道であり、税金を納めなければお金が増えないともいえます。
納税はきついですが、無駄な節税はやめて会社のお金を増やし事業を継続・発展させていきたいですね。
貸借対照表
損益計算書の数値は毎期リセットされてゼロからのスタートになります。
一方で、貸借対照表の数値はリセットされずに引き継がれていきます。
貸借対照表を見れば「現在までどのような経営をしてきて、どのような財政状態になっているのか」がわかります。特に純資産の部の繰越利益剰余金は会社の歴史を表しているともいえますね。
戦略的な固定費
利益は売上から費用を引いた残りなので、短期スパンで利益を上げるためには費用(特に固定費)削減から取り掛かることが多いかと思います。
無駄な固定費は削減すべきですが、ただ、やみくもに固定費削減に目が向かうと将来の利益を失うことになりかねませんので注意が必要です。
無駄な固定費を削減する一方で、収益化するまでにはある程度時間がかかりますので即効性は低いですが、将来の利益のために人材育成費やマーケティング費など戦略的な固定費をかけるという視点も重要です。
費用と収益の対応
仕入れた分がすべて費用になるとは限りません。
たとえば、
期首の在庫:なし
当期の仕入:50万円
期末の在庫:20万円
の場合、今期の費用になるのは50万円のうちの30万円だけです。在庫以外の分は売上原価となり費用にカウントされますが、在庫は費用にカウントされず資産となります。
このケースの場合、費用は30万円ですがキャッシュは仕入分の50万円減っていますので、費用とキャッシュとの間には20万円のズレが生じています。損益の把握とは別にキャッシュの把握も行った方がよいですね。
決算書の数字
決算書の数字は過去のものだから分析しても意味がないという意見があります。一方で決算書には、過去にどのような経営を行ってきたかが数字になって現れています。
損益計算には、1年間でどれぐらい売上があったのか?売上を得るためにどのぐらいコストをかけたのか?最終的にどのくらい利益が残ったのか?etc
貸借対照表には、期末時点でどれぐらい借金があるのか?現預金や在庫など資産はどのぐらいあるのか?etc
今後の方針を決めるために、未来の数字をつくるために、これまでの軌跡を振り返ることも重要かと思います。
会計と税務
会計と税務では取扱いが異なるケースが多いので注意が必要です。たとえば、減価償却については次のような勘違いが散見されます。
〇 法人の減価償却は任意
税務上は減価償却費における損金算入の上限が定められているだけで下限は定められていません(減価償却費ゼロでも問題なし)。これをもって減価償却しなくてもいいと勘違いされている方が多いのですが、会計上では減価償却することが義務付けられており任意ではありません。
〇 償却期間は決まっている
税務上では固定資産の種類ごとに耐用年数が決められていますが、会計上では任意で償却期間を設定します。
実務にあたっては税務上の扱いに合わせて会計を行う場合が多いと思いますが、会計と税務にはこのような違いがあるということは認識しておいた方がよさそうです。
粗利の重要性
売上総利益、営業利益、経常利益など利益にはいくつか種類がありますが、利益の大本は一番上に位置する売上総利益(粗利)です。
粗利は売上から売上原価を引いたものですが、売上と粗利は必ずしも比例するとは限りません。値引販売で販売料が増えた場合など、売上が伸びて粗利が下がることもありえます。なので、むやみに売上を伸ばすことを考えるのはナンセンスです。
一方で、粗利は売上内で発生するので、粗利が売上を超えることはありません。なので、粗利を増やすには売上を増やす必要があり、その意味では売上を伸ばすことも重要です。
戦略的に売上を伸ばし、粗利を高めていきましょう。
事業計画
事業計画、重要なのはわかってるけど何か難しそうと思っていませんか?
ざっくり言うと計画で決めることは2つだけです。ひとつは利益。もうひとつは行動。
○ 利益
どれくらい利益を得たいのか(目標利益)を決めて、その目標利益をどのようなペース(期間配分)とバランス(売上と費用)で達成していくかを考えます。
○ 行動
目標利益を達成するための具体的取組(いつ・誰が・何を行うか)を考えます。
最初から完璧な計画をつくることは難しいので少しずつ進めていきましょう
創業計画
起業する際には、創業計画を立てることをお勧めしています。
もちろん、計画を立てても計画通りになるわけではありません。むしろ計画通りに進まないことの方が多いです。
それでも計画作成が重要な理由は、計画はビジョンをかなえるための目標とその目標を達成するための道筋を示したものであり、計画がないと道筋から逸れているかの判断も軌道修正を図ることも難しいからです。
起業する際には創業計画をつくってみましょう!
経営資源
お客様から選ばれるためは商品や提供方法などの面で競合との違いが必要となります。違いがなければ、お客様は既に購入している(お付き合いのある)方や価格が安い方から購入することでしょう。
競合との違いを生み出す経営資源を持っているか?あるいは、競合との違いを生み出す経営資源を今後どうやって身につけていくか?よく考える必要がありそうです
将来の利益
今日の利益も大事ですが、1年後の利益も同じぐらい大事です。
将来の利益を得るために、現在の利益の一部を将来のために投資する。投資した分だけ現在の利益が減少しますが、ヒトやモノ等に対して投資することで、今後のより良い商品・サービスの提供につなげることができます。
人材育成や商品開発など投資の種類によっては効果が現れるまでに時間を要するものもありますので、常に先を見据えて取り組むことが重要ですね。
粗利
利益を出すためには売上以上に粗利を意識することが重要です。増収減益という言葉があるように、売上増が必ずしも粗利増になるとは限りません。粗利を増やす要素として価格アップ、原価ダウン、販売量アップが挙げられます。自社の経営資源や置かれている経営環境に応じて戦略的に粗利を増やしていく必要があります。
撤退戦略
撤退にはネガティブなイメージがありますが、撤退もひとつの戦略です。
サンクコストが気になったり逃げるという意識に苛まれたりもしますが、前を向いたときにそれが最適だと考えるなら、撤退も採るべき選択肢のうちのひとつだと思います。
マーケティング
たとえば飲食店。
どれだけ料理が美味しかったとしても、それは食べた後でないとわかりません。
まずは食べてみようと思ってもらうことが必要です。
「一度食べてもらったら分かるから」と積極的なマーケティングを行っていない場合、マーケティングを行えばその一度目を早くつくることができると思います。
固定客化
売上向上を図る手段のひとつに客数増加があります。客数を増やすというと「新規のお客様を増やすこと」に意識が行きがちですが、同時に「既存顧客を減らさないこと」も重要です。
・通り一遍ではない対応
・継続的なコミュニケーション
・顧客の声を取り入れた取組
などなど、このあたりが既存顧客の維持・固定客化の基礎になるかと思います。
価格設定
価格設定の方法には、コストや競合価格を考慮して設定する考え方の他に顧客がその商品に感じる価値から設定するという考え方などがあります。一方で、こちらが主導的に売りたい価格を設定し、その価格を超える価値を商品に持たせるというのもありだと思います。
重要なのは価格<価値であることですね。